ねぎおSTOPWAR

銀杏のベッドのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

銀杏のベッド(1996年製作の映画)
3.5
「シュリ」 で一躍有名になった カン・ジェギュ監督の、記念すべき長編一作目です。
そして主演ハン・ソッキュは映画2作目。

聞こえてきた話では、《映画「シュリ」の前身となる映画》というのだが・・。
どういう意味だろう・・??
カン・ジェギュでハン・ソッキュだから?
<かなわぬ恋>が描かれるから?

なかなかSFな、韓国の好きそうなお話です。

こういったパターン・・というか生まれ変わりという発想ってやはり、日本と韓国には多いですよね。分化する前からの固有の思想なのか、はたまた両国をつなげたり忘れられた宗教観がそうさせるのか・・。
今思いつく限り、韓国では「ラブストーリー」、TV「屋根部屋のプリンス」現代とのリンクの「春香伝」とかがそうですよね。日本だと「輪廻」「魔界転生」TV「まだ恋は始まらない」とか?
まあ日韓に限らずあの犬くんの転生の映画もありましたね。インドではハエに生まれ変わった男の話もありました。

【恨(ハン)】
この設定以上にこの映画で注目すべきは、韓国におけるオリジナルな感覚、『恨(ハン)』だと思います。
このニュアンスはなかなか伝えるのも難しいのですが、うらみ、かなしみ、いたたまれない思いといった具合。この感覚、感情を理解するからこその韓国文化なんじゃないかと。
時々わしの日本人的な感覚が「えっ!??」って反応するのがこれなんじゃないかと。
今作ではまさにこの『恨』を体現しているのが、執拗に生まれ変わりの人物まで追ってくるファン将軍。後半、彼の思いがセリフになります。わしにはどうにも言い訳がましく聞こえてしまう。しかし韓国ではこの気持ちを共有するんだろうなあ。

【아이고あいご】
みなさん知ってます?「アイゴー」って言葉。テレビでも映画でも度々登場します。嬉しい時、悲しい時、困った時など全て「アイゴー」。人が死んだ場面で泣きながら「あいごー」だし、可愛らしい赤ちゃんを見て「あいごー」。「オットッケどうしよう」って時も「あいごー」です。
「うわあ」「えぇーー」「なんてことだ」みたいな意味で使われます。まさに万能な言葉。日本語だと「どうも」って言葉が万能ですが、それ以上にどんな場面にも使えちゃう凄さ。
様々な感情を増幅する機能を持っているかのような「あいごー」という言葉もまた、「恨」と同様に韓国らしさを表現するように思います。

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ちょっと散文的に思いつくまま色々書きましたが、韓国映画が一気にワールドワイドな展開をして作りがシュッとしてきた2000年の4年前(1996年)に製作された映画。まだまだゴツゴツと本来のらしさを残した映画なんだなあって思った次第。
だからあまり気づかないだけで、例えば「パラサイト」までの流れの中にも上記した『恨』は脈々と流れてる。
日本映画でもあるところまでは残っていたとも感じますが、現代ではもはや諄さと捉えてしまう気がします。
このどの方向にも強い思いだからこそ、ドラマはよりドラマチックになって世界に受け入れられる。だからこそ世代やを越えて生まれ変わるくらいの想いになって現れるんですね。

なんだかこの映画の話と言うより広い話になっちゃいました。

過去の姫ミダン:チン・ヒギョン(「サニー永遠の仲間たち」の大人になったチュナ)
ファン将軍:シン・ヒョンジュン(「天国の階段」のテファ役)
ハン・ソッキュは2作目だけあり、演技があざといしあまり上手ではありませんよ!笑


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