健一

ピアノ・レッスンの健一のレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
5.0
こうゆう作品のことを『映画』と言うんです。

素晴らしい。圧巻。その世界観に完全に魅了されてしまいました。
もうエンターテイメントの枠を越えて『アート』です。

Mark! 1200本目は本作をレビューさせてください。😅
劇場公開時鑑賞済。
私の『映画館で観た映画』500本目の作品。

1994年 2月。
当時は空前のミニシアターブーム。
本作も どう考えても『ミニシアター系』の作品なのですが、配給会社は本作を思い切ってまさかの全国拡大公開にしてのロードショー。勝負に出た!
結果、作品の素晴らしさは瞬く間に 口コミ で広がり 公開中にアカデミー賞も受賞した為 連日満席 札止めの大ヒットロングランを記録した。😊

原題は『The Piano』 🎹
日本でも『ザ・ピアノ』のタイトルで公開したかったらしいが、権利上の問題でこのタイトルが使えず。
(日本のどこかの企業が『ザ・ピアノ』という名称の特許を取ってしまった。)
結果 日本でのみ この「ピアノ・レッスン」というタイトルが付けられている。
私は『ザ・ピアノ』より日本のタイトルのほうが好き。😻🎹

story
19世紀。スコットランド🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿からニュージーランドへ写真結婚で嫁いだエイダ。
旅のお供は幼い娘と一台のピアノ🎹。
エイダは6歳の時から 口がきけず ピアノが彼女の『言葉』となっていた。
夫となる男は ピアノが重すぎて運べない と浜辺に置き去りにし 原住民に同化している男ベインズの土地と無断で交換してしまう。
ベインズはエイダに『ピアノをレッスン』してくれればピアノを返すと申し出る。
そこから『禁断のレッスン』の日々がはじまる・・・

映像、演技もさることながら第一に絶賛したいのがマイケル・ナイマンが作り出したこの音楽。
サントラCDが全世界で300万枚も売れたこの素晴らしい楽曲の数々。
私も当時 通勤電車の中で ずーっと このサントラを聴いてました。
そしてまるで『絵画』のような美しき映像のオンパレード。
もう完全に『動く芸術品』です!😵

口のきけないエイダを演じたホリー・ハンター。
アカデミー賞、カンヌ映画祭、ゴールデングローブ賞と『その年の主要の主演女優賞』をほぼ彼女が受賞するという偉業を成した。
'88年の「赤ちゃん泥棒」からホリー・ハンターの大ファンだったので本作で一躍大スターになった時は感激したものだ。😭
ひと言も声を発さず 表情と仕草だけでオスカーを獲得!
特にベインズに愛無を求めるあの表情‼️
映画史に残る名シーンだ!

そのエイダの幼い娘を演じたアンナ・パキンもアカデミー賞にて助演女優賞を受賞。
なんと当時まだ 11歳での受賞‼️
史上2番目の若さでオスカー女優になった。

本作は完全に『女性の物語』。
しかし脇を固めるハーヴェイ・カイテル、サム・ニールの名優たちもキャリア最高の演技を披露してくれているので 彼女たち の物語 が引き立っている。

ピアノが奏でる旋律、全てを越えた真実の愛。
もうこんなスゴイ作品。2度と現れないだろう。
ストーリーを追うのではなく、五感を全て本作に捧げ、『感じて』ほしい・・・



劇場公開時 1994年 2月。
日 劇 東 宝
💺708 席(当時)
客入り 8割以上埋まってた?(平日朝一)

本来なら 日劇プラザ(💺554席)での上映だったが、連日満席 札止め の日々が続いたため 急遽となりの日劇東宝(💺708席)への上映に変更。
今でこそ当たり前のシアター変更だが、当時は『異例の処置』だった。🎉

本作を『日劇』で鑑賞出来た事を今でも誇りに思う。


トリビア。

・本作を監督した女流監督ジェーン・カンピオンはアカデミー賞にて 脚本賞 を受賞したが、監督賞は逃した。
授賞式後『なぜ女性監督はオスカーが取れない💢!』と女性差別だという非難の嵐が巻き起こり論争となる。
そのリベンジを今年「パワー・オブ・ザ・ドッグ」で見事に果たした。

・わずか11歳でアカデミー助演女優賞を受賞したアンナ・パキン。
下馬評では「エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事」のウィノナ・ライダーが最有力と言われていたのに『大どんでん返し』でアンナ・パキンに!
あまりのショックでウィノナ・ライダーは この後映画界から遠ざかってしまった。
健一

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