あかぬ

ピアノ・レッスンのあかぬのネタバレレビュー・内容・結末

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

先日鑑賞した「英国式庭園殺人事件」の音楽が大変素晴らしかったので、同じくマイケル・ナイマンが音楽を担当したこちらの作品を。

主人公エイダは幼い頃から言葉が話せない。エイダは娘のフローラと共に写真結婚によって婚約した男ステュワートのもとへ嫁ぐのだが、彼女にとって言葉の代わりである大切なピアノを重くて運べないからという理由で浜辺に置き去りにするような男だった。
エイダはステュワートに向かって、強気で自分の意見を提示したり、ステュワートからの誘いを拒み続けるなど、言葉は話せなくとも自分の断固とした意思を持つ強い女性だった。
ある日物語の中盤から登場するベインズという男が、自分の持っている土地と引き換えに、彼女の大切なピアノを貰うという契約をステュワートと交わしてしまう。
ピアノをどうしても取り戻したいエイダにベインズは提案する。「ピアノレッスン1回につき黒鍵を1つ返そう」と。
しかし、彼の本当の目的はピアノレッスンではなくエイダの体で……

といった感じの泥沼劇なんだけど、強く凛々しい印象のエイダが、ベインズのセクハラをだんだんと受け入れてしまう過程がどうしても気に食わず…。
最終的にふたりは結ばれて幸せに暮らすのだが、彼女の性格から考えるにベインズの歩み寄り方は彼女の尊厳を傷つけるようなものに見えて…。思わずツッコミをいれてしまう箇所が多々あり前のめりで観れなかった。

原題は「The Piano」こちらの方がしっくりくる。なぜなら彼女にとってのピアノは言葉の代わりであり、分身のような存在で、生きていく意味そのものだからです。
邦題の「ピアノ・レッスン」だとまた違った意味になってしまう気がします。

しかしながら浜辺でエイダがピアノを弾くシーンや海にピアノとともに沈んでいくシーンは美しく、モヤモヤしていたこともその時だけ忘れてしまう。ピアノに触れている時だけ無垢で美しい。
あかぬ

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