尿道流れ者

ブリキの太鼓の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
4.8
産まれたくもなかったオスカルは産後の父母の会話を聞いて3歳の誕生日にブリキの太鼓を買って貰えると知り、それまではと生きてみる。しかし、3歳になり、大人の嫌な部分を見てしまったオスカルは3歳で成長を自らやめて、大人になるのを拒絶する。

オスカルはブリキの太鼓をいつもぶら下げ、声でガラスを割るという特技で大人達に抵抗し、好きなように生きていく。また、激動の第二次世界大戦下にあるドイツとポーランドの姿をその目でみる。
オスカルはガラス以外にもナチスの集会や両親をも壊してしまった。それまで自由に生きてきたオスカルにも大人になる時が来る。なぜ大人になるのか?オスカルが子どものままながら大人と同様に持ってしまった汚さや罪に対して責任と自覚を持ち、立場的にもうそれから子どもだからと逃れて生きていけないと悟ったからか。
大人と子どもの境界線やどちらにもある生き辛さを考えさせられる。

社会情勢の暗さやオスカルの気まずい家庭やテーマなどで重たい話ではあるが、演出はポップで観やすくエログロ描写も刺激的で意外とあっさり観れる。
ラスプーチン登場のゴージャス感や男女問わずの多彩なスカトロ描写、小人の集団、いきなり出てくる腐った馬の首など印象に残るシーンが多い。
なかでもオスカルと16歳の家政婦とのやらしい関係はすごい。オスカル役の子役が家政婦のおまんに顔をくっ付けてるシーンとか、アメリカで規制くらうのも頷く危うさ。

すごい映画だった。