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海を飛ぶ夢のxavierのレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
4.3
約束しよう、自由になった魂で、きっとあなたを抱きしめる事を…
25歳の夏にラモン・サンペドロは事故により首を骨折、以後寝たきりの生活を送る身体になってしまう。それから26年後、ラモンは自ら人生にピリオドを打つことを決意する。そんな中、ラモンは尊厳死団体のジュネと弁護士のフリア、シングルマザーのロサと出会う…
ストーリーはこんな感じ
この作品の主人公のラモン・サンペドロは実在した人物で、この作品は彼の手記「地獄からの手紙」をもとに作られた作品。
ラモンをハビエル・バルデムが演じてるんだけど、最初の方は特殊メイクのせいか全く彼だと気付かなかった。

"君がくれたグッドライフ"でも尊厳死の事は描かれていたんだけど、ところどころにユーモラスなシーンが有ったんだけど、この作品はそういう所もなく、印象としてはかなり重たい。

観ていて自分も、ラモンの様に首から下の身体が動かせないようになったら、ラモンと同じ様に尊厳死を選ぶかもって思ったかなぁ…
いくら家族が看護してくれるとは言え、3時間毎に体の向きを変えなければならないとか、何かあったらいけないからと細心の注意を払わねばならないのは、ホント心苦しいと思う。自分を中心に回る生活を送らせる事になるのも嫌だしね。
それをラモンの場合は26年間も送ってきたんだからね、ラモンの心中を考えると苦痛だったから、自ら死を選びたいと思うのも理解できるしね。

まぁ、それなのに周りはいろいろ言うんだわな。ラモンの家族は、大体が彼の意向を認めてくれてるんだけど、兄のホセだけは大反対なんだわな。ホセの弟がどんな状態でも生きてて欲しいって気持ちは解らないでもないが、もし自分がそうなってもそう言えるのかといえば言えないと思う。
きっとラモンと同じ気持ちになるだろうしね。反対する中で、1番酷かったのは神父だったかな。ラモンと同じ身体の状態である神父は、ラモンが死を求めるのは間違いだと言い、そんな考えをラモンが持つようになったのは、家族にラモンに対する愛が無いからだと言い放つ。自分はラモンと家族がどんな風に生活を送っているのか見たこともないのに…
これはホント、ラモンの家族が可哀想だと思ったわ…

そんな中でラモンは弁護士のフリアと出会う。最初は好感の持てないラモンだったが
フリアも難病を抱え、自分に近いものを感じた彼は彼女に好感を持ち、また彼女も好感を持つ。そして自分の病気がかなり進行していると思ったフリアはラモンと一緒に死のうと思うようになるんだけど、まさかあんな展開が待っていようとはねぇ…

この作品、結構胸に突き刺さる言葉があったかな。
車椅子を嫌うラモンに何故嫌うのかと聞いた時の「車イスの生活は失った自由の残がいにすがりつくことだ」や「いつも笑顔なのは涙を隠しているから」って言葉は特に印象深かったなぁ…

そしてラストシーン、こんなとこまで見せるんだって思うぐらい衝撃的だったなぁ…
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