菩薩

小さな恋のメロディの菩薩のレビュー・感想・評価

小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)
2.5
正直ビージーズのPV以上の機能を果たしているかと言えば若干首を傾げたくもなってしまう作品であるが、ある年代以上に取っては映画以上に価値のある宝物の様なものだろうし、それこそ浅井健一に「俺の血」とまで言わしめた作品であるから、余り悪く言うのもやめておこうかな…と及び腰である。

この作品以降に多くの後発作品が誕生していったのは喜ばしい事実であると思うし、それこそ岩井俊二の『打ち上げ花火〜』なんかもその類に含まれ、そこから更に…と「起点」としての重要さを鑑みれば傑作となるのかも知れないが、同時に某二宮健などのPVの感覚で映画らしきものを撮りオシャレだろうとドヤる輩をも生み出してしまったのだとすれば、それはそれで罪な作品でもあると思う。

何故この作品が本国では大コケした癖に日本で大ヒットしたのかはよく分からないが、69年安田講堂の敗北を71年のこの作品の「大人への反抗(犯行)」の部分に重ね合わせたりなんかして…?なんて事はきっと無いであろうと思いたい。

現実世界から、敷かれたレールの上を二人だけで漕ぎ出し、逃げ出した先に何があるかと言えば…俺も大槻ケンヂと同じく「地獄」であると断言したい。恋も人も、夢のように何もかも消えていくだけなのさ、怖くはない、怖くはないさ…。
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