先に5度目の映画化であるミュージカル版(1955年ミネリ)を見ていたので、どうかと思ったのだけど、4度目の映画化であるこちらの方が面白いかも?3度目の映画化のドイツ語版(吹替技術の問題で当時は各国版が作られた)をディターレが監督しているということなので、ディターレは同じ映画を2度監督したことになる。
呆れるくらいに豪華絢爛なアラビアンナイト系映画でピカピカのテクニカラーと豪華なセットと衣装で目が眩む。そこにぬっと現れるマレーネ・ディートリッヒの輝く脚に驚愕する。凄いはったり感。そのまま踊り始めるディートリッヒの図太い存在感。ミュージカルというほどではないものの、歌ったりダンスがあったり賑やかな印象。あまりエキゾチックとは思わない主演にもかかわらず雰囲気も充分ある。1950年代になるとハリウッドのエキゾチックな映画にはその雰囲気が希薄になるものの、ディターレは50年代にも「情炎の女サロメ」とか「勇者カイヤム」を監督していてわりと雰囲気も出ていたと思う。ドイツ人監督はこういうエキゾチック冒険映画が得意というか好きなんでしょうね。
夜は王様ごっこをして街に繰り出す乞食が娘をお嬢様として育て、父に王子と結婚すると聞かされて育った娘は意外と堅実で庭師と恋している、という荒唐無稽なんだか現実的なんだかな話。チャンバラがあるともっと興味を引くと思うのだが、溢れる潤沢な予算とケレン味で楽しめる。
主人公の乞食の王はロナルド・コールマン。その娘役のジョイ・ペイジはワーナーの社長ジャック・L・ワーナーの妻の連れ子。宰相の妻でキンキラキンなマレーネ・ディートリッヒ。宰相はエドワード・アーノルド。王様はジェームズ・クレイグ。ダンスシーンの振付はジャック・コール「紳士は金髪がお好き」などの人。1955版の振付もこの人。テクニカラー撮影はチャールズ・ロッシャー。