ヒューゴ・フレゴネーズの映画も少し見ておこうとオープニングを眺めていると、ヴァル・リュートン製作とあるので俄然興味が湧く。実際見るとRKOリュートン製作ホラーの如き西部劇でとても面白い。経済性の高さが印象的。「キャット・ピープル」から始まるRKOリュートン製作の一連のホラーは光と影を巧みに用いた白黒映像で恐怖対象を覆い隠したが、こちらはテクニカラーの光と影で同じことをして貧相な予算を覆い隠している。
建物が極端に少ない殺風景な町とも呼べないような町に、椅子もテーブルも無いがカウンターだけある酒場、椅子と数人の町民しかない教会、そもそも人が少なすぎるというあからさまな低予算で、メジャーとはいえ二流だった時期のユニバーサル作品で、いやしかし一応メジャーの作品でこんなに低予算で大丈夫なのかと心配になるが、夜になると影がその貧乏さを覆い隠し、光が際立ってくる。しかもこちらは白黒ではなく鮮烈なテクニカラーの光と影。撮影はチャールズ・P・ボイルだが、何作か見た彼の撮影で他にこういうものはないし、フレゴネーズ監督作でも今のところ見たことないので、リュートンの意向だろう。
闇に聞こえるアパッチの太鼓。籠城する教会では侵入するカラフルなメスカレロ・アパッチの襲撃がホラーのようだ。明かりが消えて何も見えなくなったり、ロウソクのわずかな明かりを頼りにしたり、これもまたリュートン・ホラー風。
良いタイミングで襲ってくるアパッチ族や、高い窓から侵入といったアクション性はフレゴネーズのものかな?経済性とアクションの一挙両得で楽しめる良い映画。
町の住人(騎兵隊?)のアパッチ族と、彼や主人公のギャンブラーを毛嫌いする牧師が良いキャラクター。しかしアパッチ族は何故スペイン語を話しているんだろう。景色がメキシコっぽい雰囲気はあるのでカリフォルニアあたりの話かもしれない。
ヒロインはコーリン・グレイ。20世紀FOXを離れて早々にB級に移行してしまったけれど、ガールズネクストドア的可憐な魅力はまだまだある。この人は美貌が長持ちしたまま変なB級ホラー、SFにでたりする。