鉄骨くじら

あるじの鉄骨くじらのレビュー・感想・評価

あるじ(1925年製作の映画)
5.0
ハート

大大大傑作。無声映画にも関わらず、既に後のトーキー映画、さらには現在の映画の精神にまで到達していた超例外的な先駆的無声映画でドン引きした...。

大げさな身振り手振りやアクション、モンタージュ理論といった台詞を拒絶する当時の無声映画の語り口に反して、圧倒的台詞量(中間字幕)の多さ。

さらに今よりも男性支配が強かった時代に『結婚して家庭に囚われた女』にスポットライトを当て、『家庭内の権力を独占する男』を映画を使って激しく非難する先駆性にもドン引き。

無声映画に台詞を受け入れた効果は絶大で、人物や芝居、演出に異常なまでの手触りが発生している。台詞があることで、小さな芝居、細部を描くことを可能にして、映画という虚構を、限りなく実質に近づけている。その手触りをカメラはクローズアップや移動撮影などを駆使して的確に捉え語っている。オールタイムベスト。
鉄骨くじら

鉄骨くじら