ジャン

あるじのジャンのレビュー・感想・評価

あるじ(1925年製作の映画)
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冒頭、妻が無駄のない動きで家事を一つ一つこなしていく様子を固定ショットで捉え、しかも今度は朝食のパンとサラミの支度をする妻と娘の息のあった連携を真上横移動のカメラで捉える。『少女ムシェット』におけるムシェットの家事シーンと並ぶ、素晴らしいショットだと思った。
娘から妻の隠された献身を明かされた夫の顔をクローズアップで捉えるのはまさに『裁かるるジャンヌ』を想起するのだが、こちらでは夫が同一ショット内で顔の向きを変えることで異なる容貌が浮かび上がってくる。
日常の家事の長い時間を捉えることは、夫が妻の家事を追体験するところでむしろ為されており、そうした長さには一定の効果があるものの、とはいえ改心した夫が女中に許されるまで、そして夫が妻に再会するまでが間延びしているように感じた。
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