垂直落下式サミング

名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.2
太平洋の大海原。豪華客船アフロディーテ号の処女航海に参加するコナン一行。船内は政財界をはじめ錚々たる顔ぶれが集い、華やかさに満ちていた。そんな中、園子が何者かに襲われ、監禁される。コナンの活躍で園子は無事に発見されるが、船上で殺人事件が発生してしまう…。
好きなコナン映画。小五郎のおっちゃんがカッコいい劇場版。コナンの力を借りずに、ほぼ自力で真犯人にたどり着く有能なおっちゃん!魅せるのは、ダンディズムと投げ技の戦闘力。柔道一直線、米花の三四郎。普段はいろんな女の前でいい格好しいなのに、本当に気になる人を前にすると背筋が延びすぎちゃって、へらへらがキリッとしちゃう。いくつになっても男つーのは。
ネタバラシと同時に明かされる犯人の動機がどうにも腑に落ちないビミョーさなのは、コナン劇場版のお約束だけれど、本作の永い年月を費やした復讐劇は、人ひとりの人生を賭したものであり、15年も前のある事件に端を発する。尋常の覚悟ではない。それゆえに、犯人の哀れさと愚かしさが強調されていた。
容疑者の限定される舞台設定をいかして、ミステリーとスペクタクルの見せ場を突き詰めている。この頃から、コナン映画は大人の鑑賞に堪えうるエンタメ性を目指していたようだ。
コナンがサッカーボールの壁当てをくりかえすところ、とてもよかった。少年が自分の世界に入って遊んでいる様子を、じっと見つめる女の子。甘酸っぱくていい。クジラの目玉、めくじら。博士のなぞなぞはじめてわかった。フレンドシップじゃ!噂話はゴシップじゃ!