このレビューはネタバレを含みます
なんといっても原田貴和子の弾けるような若さに尽きる。
竹内力と揃って映画初出演らしい。竹内は後になにがどうしてああなるか(笑)というぐらいに若く甘いマスク。原田は元ミス・ユニバース九州代表らしいが、特段の美人という感じでもない。古風な顔立ちではあるか。ふたりとも演技は正直ちょっと(かなり)ツライが、それを補って余りある、とにかく原田のあふれ出るような若さが印象的。温泉での入浴シーンもエロスを感じさせないはつらつとした若さ。白Tシャツにジーンズ、ノーブラで雨に濡れた乳首が透けて見える。江口寿史が揶揄した「片岡オンナ」のまさに典型的なイメージ(笑)。雨に濡れながらカバーのかかったカワサキを抱擁して撫で回す手付きはエロかった。
自由奔放の象徴として描かれるミーヨと対象的に配置された冬美役の渡辺典子のほうが、顔立ちなど美人ではある。コウと付き合っている頃はかわいこちゃんワンピース、振られたあとバー道草の専属ボーカルになってからはぐっと大人っぽい髪型と服装というのがわかりやすい。
峰岸徹、三浦友和、根岸季衣など大林映画の常連が脇を固めている。
ストーリーはあるようなないようなだが、オートバイ(とくにカワサキ)乗りにはたまらない映画なのだろう。検索すると関連する写真やブログなどがたくさん出てくる。
モノクロとカラーの切り替えはなにか演出上の意図があるのだろうが、観ていてよくわからなかった。
ミーヨからの手紙が便箋などではなく、オートバイや旅をイメージさせる雑誌ページ?ポスター?に書いてあるのがかっこいい。これはちょっと真似したくなる(笑)。コウのアパートもきっと畳敷きの狭い部屋のはずだが、あのインテリアとかはかなりかっこいい。これは原作でもそういう描写があるのかな?
ウィキには原作とは異なりバッドエンドとあるが、果たしてそうなのだろうか? 本来のラストシーンは尺の都合でカットされたというブログ記事があるが、あのラストシーンを見る限りでは、ドライブインに遅れて到着したミーヨは現実の存在であると思う。バッグの中から革ジャンを取り出したのは、中盤でコウのカワサキを勝手に乗ったときに「おまけに雨の中革ジャンなんて着やがって!」と叩かれたからだろうし、そういうところからもコウのことを想う関係性が伺えると思う。
映画の出来としては★3なのだが、それを超えたなにかが心に残る。無軌道であふれかえる入道雲のような若さとオートバイの旅、夏と瀬戸内の島の光景、あの時代ならではの雰囲気、なんといっても大好きな片岡義男と大林宣彦の取り合わせで、えーい、おまけで★4だ。