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みじかくも美しく燃えのmiffyのレビュー・感想・評価

みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)
4.3
アマプラで鑑賞。

踊り子エルヴィラは、映画の終盤には食い詰めて、地面のキノコや枝になった木の実を貪る。零落の果てなのに、彼女はやつれもなく、輝くように若く美しい。

すべてのシーンが絵画的であり、それに寄り添うモーツァルトのピアノ協奏曲#21の第2楽章もヴィヴァルディのバイオリン協奏曲も文句のつけようが無い。

こうなると監督ウィーデルベリと撮影監督ヨルゲン・ペルソン、音楽監督ウルフ・ビョーリンの狙いは明らかだ。

悲劇の実話ストーリーや小洒落たセリフ、ロートレックの若き日のサイン入りスケッチのエピソードなどは添え物でしかない。それはそれでいい。

Pia Degermarkは当時17歳。この初演で1967年のカンヌ主演女優賞に輝く。森の綱渡りは吹き替えなし。ガッツもある。1971年にはシーメンスの相続人の大金持ちと結婚し、夫のプロデュースする映画に主演したり一児をもうけるが1973年に離婚。

その後一生を通じて拒食症をかかえ、30代にはスウェーデンに戻るものの薬物に手を出し、犯罪者として知られるようになる。拒食症治療のボランティアグループに関わるも、50代には2件の金銭トラブルで懲役刑にも服し、恵まれたスター人生とは無縁だった。(いまだご存命)

何度占っても凶と出る劇中の占い師は彼女の人生をも占っているようだ。
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