法務省次官の息子岡田裕介が、堤防釣りで知り合ったボーイッシュな少女森和代との回想エピソードが頗る美しく、並木道に停めた白のスポーツカーを、職工を辞めたばかりの青年高橋長英と意気投合窃盗、勢いよく街を駆け抜ける映画冒頭の鮮やかさが冴えた森谷司郎監督のフレッシュな青春ロードムービー映画の傑作。アメリカ留学途中で真っ赤な太陽を見て人生をドロップアウトした叔父二谷英明の牧場に辿り着き伸び伸びとする二人が、警察に逮捕され、特別扱いされ泣く岡田に、現実を直視し毅然とする高橋。なお、本作に採用されデヴューした小椋佳の名曲が、この当時を偲ばせる鍵となった印象。

森谷のフィーリング青春映画。純粋な青春ってなんだ。どこか甘えのある、音楽で欺瞞を糊塗したような面も感じる。

偶然初めて会った2人が、お互い何も語らず、アイコンタクトで意思疎通し、一緒に車を盗んで走り出すオープニングがいい。

それにしても高橋長英さん、若かりし頃は、”可愛いらしい”マスクだったんだな（笑）