黒柴

いのちの子どもの黒柴のネタバレレビュー・内容・結末

いのちの子ども(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

長く紛争が続くイスラエル、パレスチナ。パレスチナ人の夫婦間に産まれた免疫不全の赤ちゃんを救う、イスラエル医師の奮闘をドキュメンタリーで追う。

余命数ヶ月と医師からもサジを投げらたパレスチナ人の赤ちゃん、その手術費用5万ドルを公募したところ、イスラエル人から匿名で寄付があった事に驚いた。民族間で泥沼紛争、大国からの豊富な武器供与をいい事に人道無視な無差別殺戮を行う、イスラエル兵のイメージがあるだけに、国同士の血で血を洗う争いがあるが、人と人なんだと改めて思う。

途中で国際条約で禁止されてる白リン弾が何発もパレスチナの上空で破裂するシーンがある。数百の粗末な対空砲を打ち込まれれば、徹底的に破壊、そして苦しみながら死を迎える白リン弾を打ち込むイスラエル。辛い映像が続く。

赤ちゃんも無事、免疫適合者も現れ手術も終わったかに見えたが、お母さんの妊娠発覚と、まさにドキュメンタリーな映画だった。
途中、撮影者のユダヤ人とパレスチナ人のお母さんと、エルサレムについて論争がある。エルサレムは誰のものか?いまだに長く続くトンネルの様に答えは出ない。
心の拠り所であるはずの宗教が、イスラム、ユダヤ、キリストの3宗教が同じ場所を争いの場としてるのは皮肉なもんである。
やっぱりパレスチナ人のお母さんが発する言葉は重い。こちらは数人殺される事は日常茶飯事なのにユダヤ人は1人殺されただけでも大騒ぎするとユダヤ人撮影者に言い放つ。
中東の地に平和が訪れますようにと願いを込めて映画を観終わった。

ある程度、パレスチナ紛争、3宗教の背景などを頭に入れて映画を観ると、よりお母さんの言ってる言葉の意味が理解できます。
黒柴

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