しろくま

天地明察のしろくまのレビュー・感想・評価

天地明察(2012年製作の映画)
3.5
2022.11.08/242/GYAO
〝江戸時代前期、鎖国の世。コペルニクスの地動説や地球が丸いことさえほとんど知られておらず、星空が今よりも更に神秘に満ちていた時代に天体の謎に挑んだ男がいた〟

日本初の暦を作った男・安井算哲の挑戦を描いた感動の物語。長年にわたって天体の動きを観察し続ける熱意は凄いと感じたが、天文学に疎い者には、安井算哲のやっていることの意味がイマイチ分からなくて…。最初のミッション〝日本各地で北極星の位置を確認せよ〟と命じられた北極出地って何?北極星の高度を調べて回ることにどんな意味があるのか…。例えば2つの地点の距離と北極星の高度から地球が丸いことや地球の直径が分かるとか、航海をするときのナビゲーション情報として活用できるとか、測量事業に貢献したとか説明されないと偉業を成し遂げている感がよく分からないんだけど…。

セカンドミッションの暦づくりも一緒。皆既日食の日時を言い当てたから良い暦っていうのもピンとこない。そもそも我々が使っている今の暦に皆既日食はいつですよなんて言う表記はないのだから。ずれ始めていた暦の誤りを正すことが目的だったら、公家が推奨する暦と算哲の暦の夏至や冬至、春分や秋分の太陽の位置を比較すればどっちがズレが少ないかが分かる筈なのに…。皆既日食を通して、地球が丸いとか地球が動いているとかを集まった人たちに啓発するのだったら分かるけどね。

今日は、皆既月食の天体ショーが繰り広げられた素敵な日。月の色があんなに変わるんだね。それを昔の人達は、災いの予兆とみていたとしたらそれを正すのも大事なお仕事。でも算哲も暦がズレると、いい日と悪い日もズレることを懸念しているので、暦の吉凶を信じてたみたいだけど。暦がズレると漁業や農業などに影響するとかって言ってくれたら説得力があるんだけどね。

岡田准一さんと宮崎あおいさんのドラマパートは素晴らしいので、天文学のちょっとしたとこをも少し真田広之さんの語りで説明してほしかったな。
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