けとるカール

ダークナイトのけとるカールのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
5.0
個人的に揺るぎないナンバー1映画。
思い入れが強すぎて、もはや単なる日記兼ファンレターです。キモくてすみません。

公開中、ネットで多くの好意的な反応とともにタイトルを目にして見ることを決めた本作。「バットマン」の映画だということに気づいたのは、劇場に着いてからのことでした。

初めて鑑賞したときの衝撃は大きく、上映が終わり、館内が明るくなってからも座席に座り込んだまま、すぐには動くことができませんでした。私は映画というコンテンツがこれだけ人を打ちのめすほどの大きな力を持ちうることを、この時初めて身を持って知ったのです。

アメコミやバットマンというコンテンツに対する思い込みや誤解、「善き人間」であるための選択、正義と悪の境界、認識する世界と真実との乖離。人の心の薄氷一枚下に横たわる深く暗い悪意と闇。それに対峙する英雄の痛ましくも力強い覚悟と、大いなる孤独。

これら全てをあるいは覆され、あるいは突きつけられて、思考と感情の濁流に金縛りにあったようでした。または、全編を通して強いられる緊張感に、体が弛緩することを躊躇っていたのかも…とも思えます。

それから何度も劇場へ足を運び、当時地元にはなかったIMAX上映を見るために飛行機へ飛び乗り、Blu-rayを繰り返し再生し…と、何度見たかわかりません。

そして何度見ても、並の映画3本分くらい濃縮したかのような濃い内容と、ジョーカーという悪の圧倒的な狡猾さ、光であり続けることのできなかったデントの人間らしい弱さ、ブルースの抱える正義の危うさに惹き込まれ、作品世界に呑み込まれます。

本作に関わった全ての人に心からの感謝と惜しみない賛辞を贈りたい。こんな作品にはきっともう出会えない。
素晴らしい作品を世に送り出してくれて本当にありがとう。
棺にはこの作品とともに入りたいです。
けとるカール

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