つめけん

ダークナイトのつめけんのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.2
「生きて苦難を乗り越えれば人は…イカれちまう」

最早、語られ尽くした感のある作品。

東村アキコ作『主に泣いてます』の、
「バカ 男はみんなみんなダークナイト大好きなんだから 見てるどころかDVD絶対持ってるんだ ブルーレイ持ってんだ男は 隙あらばダークナイトの話してやろうって狙ってんだ男ってのはみんな いっつもいっつもダークナイトのことばっか考えてんだ バカだあいつら」
という台詞がこの作品のすべて。そういう映画。女性の前でダークナイトが好きとかベラベラ言う男は絶っっっ対にモテない。この論に躍起になって反論してくる奴もモテない。

宿敵ジョーカーによりバットマンがひたすら追い詰められるというストーリー。悪役だけが楽しそうな作品。ヒーロー側はみんな辛気臭い顔をしている。
ジョーカー視点で見れば痛快な話だけど、バットマン視点で見ると辛い。ただ辛い。滅私の精神の話にもほどがある。

ジョーカーのキャラクター性で持たせてると言っても全くもって過言ではない映画。仮にこの作品のジョーカーをジャレット・レトが演じていたら、凡作として埋もれていたことでしょう。

ヒロインが死んでここまで悲しくならない作品はない。レイチェルは普通にクソヒロインだけど、物語中盤で爆死するからなんか許せる。スパイダーマンもMJが爆死してたらもっと名作だったと思う。

バットポッドが映ってるシーンは全部最高。あのバイクマジでイカす。冷静に見たらタイヤデカすぎだろとか車体貧相すぎだろとか思うけど、見せ方がスタイリッシュすぎて鑑賞中は何も気にならない。

最初の銀行強盗のシーンも最高。悪い奴が悪いことをしてるだけの場面なのにワクワクする。「銀行強盗のシーンだけ見てぇな」って日がある。


中国での一連のシーンと、ハービーがマフィアの運転手撃つとこで無傷なのが凄い気になるカバポイント。というか、まず結果ありきでそこに進むために色々捻じ曲がって進む展開が全体的にダルい感じはある。要するに、ジョーカーの小難しい計画をうまくいかせるために展開に無理が生じてるところがそこそこある。

あと、ちょっと長い上に色んなこと起こりすぎてるよね。最初見た時よくわかんなかったもん。銃弾から指紋とるとことか、何してんのかわかんねーよ。ノーランは描写のみでモノを語るのが不得手な印象がある。
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