70年代のバイオレンス俳優、ジョー・ドン・ベイカー主演のクライムアクション。

正直かったるい展開が続くが、上映時間1時間を過ぎた頃に訪れる、列車に衝突する車から間一髪で抜け出す壮絶なスタント、その後間髪入れずに敵の耳を拳銃でぶち抜く強烈な拷問シーンのコンボに痺れた。耳の破片が傷口からプラプラぶら下がっていたりと、やたらとグロい。スウェーデンでは検閲が入り暴力シーンのカットを余儀なくされたそうだ。

ジョー・ドン・ベイカーは田舎のいじめっ子みたいなイモっぽい風貌が最高だ。そんな彼が大暴れして敵をぶちのめすだけで眼福なのだ。

監督脚本主演は『ウォーキング・トール』と共通。ジョー・ドン・ベイカーの振るう暴力が陰惨な傷口を生み続けるが(拳銃で吹き飛ばされた耳！)、最も陰惨な印象なのはコニー・ヴァン・ダイクの強姦され服を引き裂かれた次のカットで検診後のベイカーの入院服が元に戻されるつなぎ。

ベイカーが三人に襲撃されうち二人と同乗して車を運転する場面、並走する列車を追い越し線路に侵入、二人を残して脱出し列車が車と衝突したあとベイカーは残る一人を拷問殺害するが、列車視点のカメラが潰れた車を停車まで捉え続けベイカーの拷問と並行しつつ列車後退画面も挿入するのはかなり変な選択

冒頭ではヒロインの甘い視線に向き合わず仕事の電話を取った薄情なジョー・ドン・ベイカーだが、映画中盤で繰り返されるその視線に、結局その場を離れてしまうが、惜しみながら振り返る動作を見せる。刑務所移行後のダメージをもろともしない瞬間反射で放たれるぶっきらぼうな打撃は確かにザラーの某作を連想させる。折れたモップの先があんな落下を見せるなんて思いもしなかった。