老人XY

つみきのいえの老人XYのレビュー・感想・評価

つみきのいえ(2008年製作の映画)
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あのワイン、とんでもなく豊かな味がするんだろうな。俺が同じモノを飲んだとしても絶対に感じることのできない味が。

いや、でも、考えてみたら、それがレトルトだろうが手作りだろうが、この瞬間生きていることから立ち上がってくるすべての感覚を総動員させて、俺は毎食毎食、人生の味を噛みしめてるとも言える。
五感でとらえられるもの。色、ツヤ、見た目、匂い、調理中の音、食事中の音、温度、食感、味。
どこで、なにを、だれと、いつ。
どんな食器で、どうやって。
いくらのメシを、どのくらいの量で。
なぜ?

さらに言えば記憶も蓄積され、思い出と共に食べることもある。

都会に住んでいるからなのか、現代に生きているからなのか、それとも両方なのかわからないけれど、なるべく「何か」を感じないように感じないようにしながら、毎日やり過ごしている気がする。生きているのではなく、やり過ごしている。各々凸凹はあるにせよ、人は誰もがとんでもなく敏感で超高性能のセンサーなのに、その能力を封じ込め、かつ、じわじわと殺していかないと生活できない社会や環境に追い込まれてる。考える余裕すら与えてくれない時代のスピード感についていけなくなって久しい。

不感症で思考停止した生き物って、なにそれディストピアSFですか?え、現実?

いかん、なんでこんな話をしているのだろうか。
普段の生活で独り言を一切喋らないのは、独り言をネットやノートにちまちま書いてるからだという仮説がたったいま浮上した。
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