気ままなゲイライフを送る直也(高橋和也)とゲイである事を隠して生きる恋人の勝裕(田辺誠一)、そして訳ありエキセントリックで子供が欲しい朝子(片岡礼子)3人のかけがえのない日常話。
僕は、直也のようなゲイが苦手だった。
そこそこ働いて、週末は二丁目で気ままなゲイ友と悪口か恋バナだけで盛り上がる。
たまに男を持ち帰ってはワンナイトラブにも慣れていて、でも彼氏は常に欲している。流動的で楽観的で、内輪感が強くて浅はかだな、という目で見てしまうのだ。
しかし、この映画を通して彼自身の人の良さや母性(⁉︎)、口は悪いが世話焼きなところなどすっかり愛着が湧いてしまい、遂には登場人物の中で1番好きになってしまった。
それくらい、この映画の中には、ひとりの人間の「生活」がしっかりと流れているのだ。
セックスした後散乱した使用済みティッシュ。食べかけのスナック菓子。蒸し暑い夏の畳。趣味が偏る同棲部屋。
そんな染み付いた日常生活の中で起きる些細な出会いや出来事が、とっても可笑しくて、愛おしくて、気付いたら満たされてて。
3人がどんどん親密になっていくあのシーンは、ずっと見ていたくなる。
朝子の部屋にゲイカップル2人が心配して訪ねてくるところもなんだか可笑しくて、でも涙がでる。
ラストの3人の笑顔を見て、「生活をしていく」中でひとりじゃないってことが、1番幸せなのかもしれない。って感じた。