正義の保安官が颯爽と悪党どもを倒す痛快な話ではない。
西部劇という舞台を借りた人間ドラマです。
街の秩序を守りまわりも街人も尊敬していた保安官ケイン。
今日は結婚式だったが、
ケインは不吉な便りを受ける。
数年前に街の秩序のために縛り首の刑に処した極悪人ミラーが、
北部の刑務所で無罪になり、
復讐のためにこの街に戻ってくるという。
新妻やケインとミラーの確執を知っている住人は、
ケインに街を去るように助言するのだが、
ケインは再び秩序を乱されるのを嫌い、
街に残りミラーと対峙する道を選ぶ。
ミラーは昼12時の汽車でやってくる。
駅には子分3人が迎えに出ている。
1対4の戦いになってしまうので、
ケインは街の人に協力を求めるが、
傷つきたくない日和見的な街人は誰一人協力しない。
時計は刻々と刻まれ、
12時がやってくる・・・
保安官がゲイリー・クーパー。
戦い終わって傷ついた彼が、
保安官バッジを自ら外し、
道に捨てる場面は名場面。
アンチヒロイズムを先取りしているようだ。
新妻役にグレース・ケリー。
望まない銃撃戦に巻き込まれてしまう。
凛とした美しさ。
ジンネマン監督は、
時間経過をサスペンスフルに描き上げ、
ドキュメンタリー風のタッチに感じさせてくれる。
もちろんクライマックスの1対4の銃撃戦は、
構図も決まってて迫力あり。
これも名場面だろう。
ジョン・ウェインはこの作品を観て激怒したそうであるが、
僕はこの作品のアンチヒロイズムを支持します。