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ベルリン・天使の詩のtrswのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.1
居酒屋で煙草を配るバイトをしていたとき、ふと この階でも、上の階でも下の階でも沢山の人がお酒を飲みながらいろんなことを考えていて、それを絶対に知ることは出来ないのだろう、という感慨に浸ったことがある

モノクロームの映像は自分の世界とは隔絶されたものを思わせる 80年代のベルリンでも、カラーで見ると実際に存在しているものというイメージを抱くが、白黒の世界では歴史の中の出来事という感じがする 自分の親族の白黒写真なんかを見ると同じ世界に生きていた人物とは思えなかったりする

知り得ないことに対する執着が強い自分は、全知である天使のようになりたいと思うことはある でも、この映画の天使は世界と強く結びつきたいという欲望を選んでいく 予知よりもあらゆる衝動と無知の楽しみを肯定する


終わった後、世界が美しく見える映画だし、年を経るごとに輝きを増していきそうな気がする
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