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記憶のはばたきの4423のレビュー・感想・評価

記憶のはばたき(2001年製作の映画)
4.0
あの日、大好きだった少女シルヴィは水底へと沈んでいった。少年サムはその悲痛な記憶を閉ざしたまま故郷を後にする。20年後、父親の死去をきっかけに帰郷したサムはシルヴィの記憶を持ったかのような謎の女性ルビーと出会う…。

オーストラリア映画というと『イン・ハー・スキン』、『アニマル・キングダム』、『スノータウン』、『ウルフクリーク』といった実録犯罪映画の印象が私の中では強いのだが、本作は詩的で靜謐な雰囲気に溢れオーストラリアの自然が全面に押し出された作品だ。

また水と闇がこんなにも美しく映し出されている映画なのも珍しく、終始幻想的な雰囲気に包まれる。鳥の墓や言葉遊びといった要素もそういった印象付けに一役を買っている。

魂解放のプロセスと言われると哲学的に聞こえるが、つまるところこれは過去に負ったトラウマへの赦しと解放がテーマなのだと切り替えられれば話事態はシンプルなのかもしれない。ただルビーの存在意義をどう捉えるかによって物語の受け取り方も違ってくるのではないだろうか。
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