三樹夫

ドニー・ダーコの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

ドニー・ダーコ(2001年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

オチをざっくり言うと母親と妹と恋人が死ぬ世界線を自分が犠牲になることで、主人公が死ぬという世界線に変更し救うというものだが、映画全体の作りとしてはアメリカのセカイ系のようにも思える。主人公にとっては母親と妹と恋人が死ぬことはこの世の終わりかもしれないが、世界にとっては別に終わりでも何でもない。3人の人間が死ぬが、世界は何事もなかったかのように続いていく。しかし主人公にとっては世界の終わりなのだ。自分=世界となるセカイ系で、思春期ぐらいまでは自分=世界と感じられるのかもしれないが、大人になるにつれて自分=世界でないことを知る。セカイ系は大人になりきれていない思春期のもの凄い恥ずかしいものを叩きつけられるので共感性羞恥と不快感を覚えるが、一方で分かりみもある。

主人公の部屋に飛行機のエンジンが降ってくる、映画館でウサギの仮面を取ると右目が潰れた若者の顔が現れる、これらは時系列でいうと後に起こることだが時系列がシャッフルになっている。
ラストでは、飛行機事故で死んだはずの母親と娘は生きており、車に轢かれたはずの恋人は生きている。その代わり部屋にエンジンが落ちてきて主人公が死ぬ。主人公の家の前を通りかかった恋人は主人公家族のことを知らないが、かすかに記憶が残っているようで軽く手を挙げる。これらで世界線が変更になったのだなと分かる。観ていて『輪るピングドラム』を想起したが、『輪るピングドラム』みたいな世界線が変更される何かしらの作品を観てなかったらこの映画は何のこっちゃ一切訳が分からなかったかもしれない。

青春ドラマもやっていて、カルトセミナーに心酔している先公とか、カルトセミナーのインチキ野郎に反抗するのはすごい青春ドラマっぽい。カルトセミナーに心酔している先公は、恐怖というネガティブなものと愛というポジティブなものの二元論でしかものを見ることのできないバカだが、感情をどっちか二つに割り切ることなんて出来ないんじゃないですかねぇと主人公。カルトセミナーのインチキ野郎は一発でこいつカルトだなと分かる、言ってることの内容がカルトセミナーでよく言われるようなペラッペラなことを言っている。この先公とインチキ野郎に対してもの凄い憎悪を燃やし、インチキ野郎の家まで燃やすが、思春期において一番イラ立たしい悪役2人で、そこに歯向かっていくのは青春ドラマっぽい。インチキ野郎のモデルはブッダフィールドのハイメ・ゴメスとかなのかな。

この映画の製作総指揮を務めるドリュー・バリモアがめっちゃいい教師の役もやっているという、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の時のブラピか。製作やって劇中ではいい役を演じるという、ドリューさんといいブラピといい職権の乱用してカッコいい役演じてる。
主人公は精神セラピー通いの精神不安定なキャラで、映画内の出来事は錯乱した主人公の妄想かとも思う映画だが、演じるジェイク・ギレンホールが見た目あたおか顔なので役に合っている。ジェイク・ギレンホールって何であんなにあたおかに見えるんだろ。目が何気に死んでるのが大きいのかな。
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