停滞

彼女について私が知っている二、三の事柄の停滞のレビュー・感想・評価

4.0
フランスの首都圏整備計画に注目し、資本主義の病理を示し展開する断片的なシーンの中でゴリゴリ哲学的なことが話される。知るとは何か、存在とは何か、欲望における原因の不在、人間の世界とは、言葉とは、その表現可能性とは。。。

何かを主張するというより、問いを提示してそれに対するプロコンを語り、答えの不在、いわば人間の言葉の限界を示しているんじゃないかなぁ。その言葉に対して事物を示すイマージュとの乖離、それぞれの屹立。音楽に関しては非常に抑制的でまだ手を出してないって感じでしょうか。これらを追求する形でゴダールは映画を撮り続けていったと思っております、だからゴダールは好き。あと比較的低予算なところ。

人間は過去を認識し現在に生きるが、資本主義は発展を前提として未来を見る生き方、故に何かを知ろうとする、知れると思いこみ、人間の言葉の限界性を無視する傲慢さへのやれやれ感情と受け取れて個人的には刺さった。
停滞

停滞