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釣りバカ日誌4のokのレビュー・感想・評価

釣りバカ日誌4(1991年製作の映画)
4.2
シーンに盛り込まれる演技のアイデアの量が素晴らしい。

栗山監督は(そして同じように脚本の山田洋次も)映像へのフェチズムがあまりないタイプだと感じる。ドラマを置き去りにするような細部への執着に乏しい。
脚本や映像の過剰な予定調和、見たいものをみせる娯楽性はそれだけでは退屈だ。

しかし今作はその予定調和にヒビを入れるように繰り出される役者の演技の唐突、驚き、意外性、そっけなさ、のようなものがあり、それが映画全体を豊かにしている。

山田洋次脚本、監督作品の強さでもあり弱さは、本のもつ強力な大団円の力、不安にさせない演出、見せたいものをみせる力、が、役者の演技によって映画に走った亀裂を、それが決定的に器を破壊する前、などでは無くそのはるか以前、わずかなヒビが見えたその瞬間に即座に塗り固め、傷など何もなかったかのような見事な姿に整えて直してしまう事にある。

本作はそれに抗うような役者達のありようが、ふさぎ切れないヒビとなりわずかに映画と言う器の表面に残っているように感じられた。三國連太郎は改めて素晴らしい役者だと思う。

豊かな作品

歴史に残る名作
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