月うさぎ

宇宙兄弟の月うさぎのレビュー・感想・評価

宇宙兄弟(2012年製作の映画)
3.5
宇宙飛行士の夢を描いた人気漫画の実写映画化。
最近の実写化は意外といい出来のものが多いですね。「宇宙兄弟」も、絶対に違うでしょと思った小栗旬がなんと兄のムッタにビジュアルイメージがぴったり。(といっても私はほんのサワリしか原作を読んでいませんが)役者ってすごいなあ。
岡田将生のヒビトも突き抜けた存在感がいいです。彼ってまっすぐ過ぎる男の子を演じることが多いですね。あ、そういえば、また、兄より出来のいい美形の弟って役ですね。

お話としては大ヒット漫画がベースですから当然面白いし、JAXAの全面協力と言う話も本当です。
宇宙飛行士の適正をチェックする実技試験の様子も非常に興味深いです。一生ご縁のない世界を、こんな身近に見られるチャンスはめったにないでしょう。テストには、能力以外に閉鎖空間における生活訓練があるのですが、トラップもあって苛酷です。
でも最後の面接試験での質問だけは「答え」をしっていましたよ、私も。
当然試験内容が実際にこの通りではないでしょうけれど。(ネタバレしたら今後の試験に差し障るでしょうし)

仕事でJAXAに見学に行ったことがあるんですが、見覚えのある施設が舞台になっていて、おおっ。あれは!なんて、ちょっと嬉しくなりました。

映画はムッタが宇宙飛行士のスタートラインに立つまでのお話しです。
(いきなり話がスキップして宇宙に旅立つところに強引に行きつきますが、それはお約束の「映画のためのアレンジ」ですので文句を言っても仕方ないです)
マンガを先に読む場合もJAXAでの宇宙飛行士候補者選抜試験のところまで読んだら、映画を観ておいたほうがいいと思います。マンガだとその先はシリアスになりすぎて、映画の楽しい雰囲気と全く違っちゃうみたいですから。恐らくはテーマそのものが変わってきます。

夢をあきらめないこと。
努力から逃げないこと。
チャレンジを続けること。

同じ夢を追っている人にもこの映画は心強い味方になってくれそうです。

いただけないのは月面の場面です。
6分の1の重力なのですから、地球上とは違った動きになるはずですが、この表現が誠によろしくないです。
少なくとも私たちが見慣れているアポロやその他のSF映画の月面映像とは全く違います。
普通に重そうだし普通に動いてるし、すごいジャンプもしちゃってるし。
見せたい映像をふまえた演技指導をちゃんとしてよ。役者に任せてないで。監督手抜き!って思いました。
本人役で出演していたバズ・オルドリンも全く活かせていません。もったいない。

宇宙の映像処理はさすがチープな日本映画。全然なってませんでした。
映像はだいぶきれいにできてはいるんですよ。月の景色は悪くないです。月から見た地球もいいです。(あれも厳密には嘘ですが)
KAGUYAのおかげで鮮明な月こそリアルというイメージになったことはいい点ですが、もうちょっと宇宙そのものの孤高さを感じさせてくれれば。
「ゼロ・グラビティ」レベルは無理なのはわかりますが。それでも、もうちょっとなんとかなるでしょうに…。
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