Masato

エイリアンのMasatoのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
4.6

コズミックホラーの原点にして金字塔のエイリアン1作目。リドリー・スコット監督の出世作。

先に1と2の間の物語でリプリーの娘が主人公のゲーム「Alien Isolation」をプレイしたので、本作を見てゲームの再現度の高さがよく分かった。すべてが忠実すぎて驚くレベル。

古典的な展開と演出なのに、今見ても色褪せない面白さ。古典的でも映画史最高レベルの演出力が時代を超える恐怖を表現している。というよりも、リドリー・スコットは美術出身なので画作りが非常に美しい。大衆にも受け入れられるアートホラーとしても今なお最高峰。

またHRギーガーによる美術はとにかく凄まじい。エイリアンの造形。生々しいリアルな生物感。またノストロモ号の内装やオブジェクトの全ても最高。まるで奇跡のような美術。劇伴も最高。ホラーではあるが、どちらかというと広大さを意識したSF寄りの劇伴で良い。

展開も今とは違って急ぎがない。非常にスローペースでキャラクターの動作を事細かく描くことの鈍重さがかえって緊張感を生んでいる。今の映画は急ぎ足でワンシーンを味わう隙間がなかったりする。それはそれで良い点もあるけど。ただ鈍重なだけでなく、動的になる展開においてはハイペースになる。その塩梅も見事。

リドリー・スコットが「最後の決闘裁判」を作った理由がよく分かる。リプリーがとにかく賢明で逞しい。ファイナル・ガールに分類されてはいるが、所謂古典ホラーのファイナル・ガール的な存在ではなく、自分で生きる道を切り開いていくキャラクター。サプライズの主人公に近い。
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