BK477

エイリアンのBK477のレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
4.2
~蟹工船2122、恐怖の航海~

宇宙は、人類にとって未開の地=フロンティアだったはずだ

60年代の冷戦では米ソが宇宙開発にやっきになって
77年に「スター・ウォーズ」と「未知との遭遇」が公開され
宇宙は、夢と希望に満ちているはずだった。

その宇宙に恐怖を抱くという感性が凄い。
脚本家のダン・オバノンは、ラブクラフトの影響を受けていたのかはわからないが、
この時代に抗う作風は痛烈。

更に「スター・ウォーズ」との決定的な差は、地続きなサイエンスフィクションの描写にある。
私は「スター・ウォーズ」はファンタジーと認識している。

サイエンスフィクションたる、現実の延長上。
私達市民の生活が、人類が宇宙に進出しても何も変わらないという、ある種の絶望がここで描かれる。

本作の登場人物達は、銀河系の外宇宙より鉱物を地球に輸送する仕事に従事している。
彼らは何百光年を行き来するのでコールドスリープで眠っている。
もちろん、自分が地球に帰ってきたとき、知り合いは全員死んでいる。(同様にスリープしていなければ)
「やあ、ぼくは2024年生まれだよ、君は?」「私は2224年生まれ、200年前の地球ってどうだったの?」こんな世界だ。

もちろん、宇宙の果てで船が難破しても、誰も助けてくれない。
自分の命、家族、人間関係、全てを賭けた一攫千金の大仕事。 まさに未来の蟹工船である。
帰って来た地球には誰一人知っている人も居らず、価値観すら全く異なる別世界。自分の母国すら無いかも知れない。
この仕事でいったいどれだけの報酬を得られるというのか? それに見合うのだろうか?
そんな、人生の大勝負に出た蟹工船クルーが、更に悲惨な目に合う物語。
BK477

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