義民伝兵衛と蝉時雨

ハートに火をつけての義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

ハートに火をつけて(1989年製作の映画)
3.0
デニス・ホッパー監督作「バックトラック」を製作会社が勝手に再編集したバージョン。これに怒ったホッパーがクレジットを拒否したため監督名はアラン・スミシー名義。

編集ひとつでこうも映画が変わるのかと驚いた。流石にハリウッドの製作陣が再編集したこともあって綺麗に上手くまとまっていて見やすい。ホッパー編集版の「バックトラック」の特徴でもあったクセやアクが削ぎ落とされていて、凄く小綺麗になっていた。やはり受け手の目線をしっかりと意識した大衆向けの編集。ハリウッド一流の製作陣が編集したこともあって完成度も高く、編集技術の高さを感じた。

しかし、殺し屋とターゲットの異質な恋愛関係の部分が濃く描かれているホッパー編集版に比べ、アクションやサスペンスといった娯楽要素の方に赴きを置いているので、普通の娯楽作品として観る分に良いが、ホッパー作品にある個性や独創性を求めて観ると肩透かしを食う。十分に楽しめる娯楽作品ではあるが、ホッパー編集版にあった心が熱くなるものや心に残るものが無くなっていた。とにかく大衆向けで無難という言葉が似合う編集。デニス・ホッパーらしいクセとアクが抜け見やすくなった分、どこにでもありそうな味気ない作風になっていた。

DVDで鑑賞したのだが「バックトラック」よりも画質が良くてジョディ・フォスターの美しさがより鮮明だった。「バックトラック」と比較する点だけではなく、その点でも一見の価値有り。本当にジョディ・フォスターは美しいし可愛い。