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影の軍隊のHKのレビュー・感想・評価

影の軍隊(1969年製作の映画)
3.6
先日亡くなった千葉真一氏の人気シリーズ『影の軍団』とは全く関係ありません。念のため。

第二次大戦下でのフランスのレジスタンスをリアルに描いた作品です。
ジャン=ピエール・メルヴィルの代表作とか代表作の一つと言われていますが、本作はメルヴィルのロマンと美学よりもリアルさ非情さ(メルヴィル自身もレジスタンスの一員だったとか)が強調された作品といった印象。

表舞台に登場することなく、非情の掟に従って活動するレジスタンスはまさに影の軍隊。
こう考えると日本の戦国時代の忍びと共通する部分もあると言えるかも(前述の千葉ちゃんの『影の軍団』はドハデな忍者アクションで似ても似つきませんが)。

でも実際の忍者と同じく実際のレジスタンス活動に派手さは無く、他のメルヴィルの作品と比べても、より地味で淡々とした本作は私の期待した方向とはちょっと違いました。

主演はメルヴィルとは2本の作品で組んだ後決別したというリノ・ヴァンチュラ。
他に大御所女優のシモーヌ・シニョレ。
ジャン=ピエール・カッセルは息子のヴァンサン・カッセルよりイケメンですね。
ポール・ムーリスやポール・クローシェもフレンチ・ノワールでよく見る顔ぶれ。
セルジュ・レジアニは床屋役で今回は1シーンのみの出演でした。

ラストのS・シニョレのくだりは同じくレジスタンスの非情を描いたF・アルヌール主演の『女猫』を思い出しました。
リノ・ヴァンチュラとメルヴィルが組んだもう一本の作品『ギャング』も観たいんですが、今のところ観る手段が無さそうです。
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