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勇気ある追跡のcatmanのレビュー・感想・評価

勇気ある追跡(1969年製作の映画)
5.0
感銘を受けた『向こう見ずの男』のヘンリー・ハサウェイ監督作。これがまた凄く良い!賢くて口が達者で大人顔負けの勝気な少女と言う、普段なら割と苦手なタイプの主人公が逆に魅力的で嫌味を感じさせない。真っ直ぐで強い意志を持つ彼女を自然と応援したくなる。コグバーンもラビーフもステロタイプになりがちなキャラクターながら確かな個性と深みがあり、若きロバート・デュバルが演じる敵役ペッパーにも単なる悪役に終わらない人間味がある。この監督の人物造形は好きだなぁ。コーエン版のしんみりと深く余韻を残すラストも良いけど、爽やかに終わる本作も良い。

オープニングからものの数分で物語のバックグラウンドを描き切る手際の鮮やかさ、美しい自然の風景をロングで捉えるリッチな映像、メリハリが効いたアクションの演出、慈しみが感じられる馬の描写、コルトウォーカーとウィンチェスターの存在感、作品全体を覆う優しさと清々しい空気、ハサウェイ監督の持ち味が存分に発揮された傑作。巨匠エルマー・バーンスタインの音楽も良き。そして猫のプライス将軍がカワイイ

1969年の映画にしては雰囲気が些か古臭いけど(それ故に突然の指切りバイオレンスシーンは鮮烈)、それが大らかでクラシカルな本作の魅力なのかな。
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