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ゴーストワールドのせっのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.2
永遠のモラトリアム。

高校卒業後、進路も決まらずフラフラしているイーニドが、レコードコレクターのシーモアと出会ってシンパシーを感じたり、美術の補習を受けたり、親友と同居の計画を立てながら自分の将来について悩んでジタバタする話。

口を開けば人の悪口ばかり、人を自分の偏見と見た目で判断し、普通に働いて平凡に生きて行くことを否定し、人とは違う個性を持ってる自分をカッコ良いと思ってるいわゆるサブカルクソ野郎なイーニド。自分も社会人になった今見ると愚かと思うけど、イーニドに激しく共感する自分もまだいる。

でも、人って社会に溶け込んでいるようでモラトリアムを永遠に抱え続けるものなのかなと、イーニドが、あるはずのないバスに乗ってどこかに行ってしまう奇妙なラストを見て思った(見た直後はシーモアが実は昔人を殺したことのあるやばい奴(セラピーはその精神疾患で犯した犯罪の更生プログラム的な)で、殺されることの暗示か!?と思ってました笑)。

あのバスに乗ってったイーニドはサブカルクソ野郎なイーニドで、だからといって無事に成仏したんじゃなくて幽霊のように上手く姿を隠せるようになって永遠にどこかを彷徨いつ続けてるんだろうなぁと。じぶんも、学生の頃はあんなに人と被るからって着たくなかった全身ユニクロコーデに身を包み会社に向かうけど、帰ってきたらアメ横で買った意味不明なTシャツに着替えガラクタが散乱する部屋でくつろいでんだから。

そういう幽霊をたまに喜ばせてやるのが映画とか小説とか音楽とかカルチャーの役割なのかなと思った。現実がクソだから映画がより面白いこともある。
せっ

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