失くした家の中で
失くした言葉の中で歌っている
1992年冬 ボスニアヘルツェゴビナ紛争で
サラエボがセルビアの勢力に包囲
危険に晒された市街から
妻と娘を国外に送り出したハムザ
家に帰ると幼い兄弟が真っ黒になって
迷い込んでいた
ソ連の崩壊後ユーゴスラビアが解体
目に見えない何かが狙う
それから逃げ惑い混乱している
遠く離れた妻と娘の2人と会話するハムザ
時空を超えた不思議な描き方
オネショを夢のせいにしてるケリムに
現実ほど怖い夢はないと言っていた
詩人であるハムザがケリムとアーディス
に話しかける言葉
2人に書いてみせた美しいサークル
禅の円相のようでした
円環
祈りも込められてるかもしれない
何ももう起こらない
死人の方が多くなった大地
涙も花粉を運ぶ風も
詩にする美しいものが
全て破壊されてしまった
その恐怖をも失っていく