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走れ走れ!救急車!のくりふのレビュー・感想・評価

走れ走れ!救急車!(1976年製作の映画)
3.5
【デカパイって死語だよな】

競合よりいかに早く、患者の発生を嗅ぎつけモノにするかで日々、シノギを削る、民間の救急屋さんのお話。救急車とは命綱車ですが、ビジネスとなると他人の不幸でいかに儲けるか、て話になるんですね。

ピーター・イエーツ監督1976年の、ジャンル横断風味のコメディ。というか、コメディ風味のアクション群像劇ってとこでしょうか。

題材がこうだから人は死ぬし、シリアスな局面も出てきますが、泣き笑いの極端な振幅を、こんな風にしれっと共存させちゃうのって、最近みないなあ…。名画座二本立てでみたいようなノリでしたが。

働く救急隊員の視点で、身体トラブルという窓を通して、当時のアメリカ庶民社会がちょち大袈裟に、映されています。ドラッグで死ぬやつもいれば、死ぬ前に銃ぶっ放すやつもいる。でぶ事件もちんこ事件もあるし、仕事は盛りだくさん。

でも民間だからか視線はドライ。みな利益優先で動いてます。脚本、肩の力が抜けた感じですね。当時はこういうのが悪くなかった。ラストはそっち行くか!と驚く転調アクションで盛り上げています。

原題は『MOTHER, JUGS & SPEED』。主人公たちのニックネームのこと。MOTHERがビル・コスビー、SPEEDがまー若いハーヴェイ・カイテル、JUGSがデカパイってスラングだそうで…ラクエル・ウェルチ姐さん。

私は完全にラクエルさん目当てでDVDレンタルしました。本作では服、着っぱなし(笑)。でも、ニックネームはダテじゃない。ぴっちりセーターこれまたよし!かえって高山際立ってますね(笑)。

彼女は資格を持っていて、現場に出たくて仕方がない。が、紅一点(死語)事務職に甘んじ、同僚のセクハラに甘んじ、毎度毎度デカパイデカパイ言われて爆発寸前だが…て役どころ。

彼女の顔は鼻の形がキツくて、撮り方次第で嫌らしくもなりますが、本作はわりといい感じだと思います。ちなみに、ちんこ事件も担当。

この頃のハーヴェイ・カイテルはろくに見ていなかったので、その精悍さに驚き。彼なら難攻不落の乳高山を攻略するのも納得ですね。

<2013.4.17記>
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