mizuki

スワロウテイルのmizukiのネタバレレビュー・内容・結末

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

あーーーー😭ってなる終わり方…。殺される前の束の間の喜び。なんて美しいラスト。岩井俊二らしいな〜。セリフも極限まで減らして、行間読ませてくるやつ。美しいのは、徹頭徹尾、ね。

フェイフォンに言われて、初めてグリコ(Chara)がバンドと合わせて歌うシーンやばすぎるよ〜😭人前で歌ったことがないから、自己満足できる声量でしか普段歌わない、っていう歌い方。マイクの使い方がわからないから、小さすぎる声。ピアノの人のちょっと大きめの地声の方がでかいの、めっちゃリアル…。歌声は小さいけど、純粋に歌を、楽器を楽しむ気持ちからグルーヴが生まれて、だんだん声量が増してくところがいいなあ。

Charaってほんといいなー。ご本人もだし、グリコとしてもだけど、あっけらかんとしていて、キラキラしていてポップなんだけど、汚いものや酷いものを見ても一貫してそのスタンスを崩さないところが魅力なんだろうなと思う。Charaご自身のブレない、闇も光もどんとこいのスタンスに勇気をもらうし、自分もそうでありたいと思う。

円都と円盗が同じ「イェンタウン」なのも、カセットテープをめぐって殺し合いが起きるのも、家族の印が谷間の蝶のタトゥーなのも、設定が全て良い。

(2022年12月29日追記)
初めて観たときに価値観がすごく変わったとか、繰り返し観ようとかは特に思わなかったけど、気づいたら繰り返し再生していた。観たら必ず「美しいな」と思えるから。世の中美しいものばかりではないから、これを観る度、美しいものを作ろうとしている人がいることの尊さを再確認できるのだと思う。「美しいものばかりを追い求めてもいいのではないか?」と思わせてくれる作品だから、ある意味価値観を変えてくれたと言えるかも。
たまたま劇場で観れることになった。20年以上前の作品なのもあって、テープがかなり傷んでいた。ノイズは結構入っていたし、シミもいっぱいあったし、エンディングの音も変だった。でもそれはそれでよかった。大きなスクリーンでみると、表情の機微など細かいところまでよく見えた。特に、フェイフォンのグリコへの優しい眼差しが印象的だった。屈託のない笑顔。いつの時もブレない愛。そして、フェイフォンが裏切ったフリをしても、グリコだけはわかってる。あの二人本当に好きだなあ。
繰り返しみてると、あのラストは二通り考えられるのだなあということに気づいた。リャンキはテープ探しのために急いでいる→アゲハからテープを受け取る→急ぐ必要がなくなる、から、目的地に行かなければ射殺もされないし……?死なないエンドの可能性もある。初めて観た時は気づかなかった。
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