数十年振りに再見。
面白かった。
アジア的というか、無国籍的というか、途上国のスラムのような町、円都を舞台にして、その町から這い上がろうとする若者達や、マフィア、芸能界の上層部、警察官など、リアルとファンタジーの境界線のように曖昧な世界観。
村上龍の「コインロッカーベイビーズ」という小説の中に出てきたようなビジュアルだ。
キャラクター造形もスタイリッシュなんだけど、今の目線だと、この群像の中にはLGBTが必要になるだろう。
その点、まだ90年代のエンタメのレベルということになり、今後の風雪に耐えうるか。
三上博史が魅力的。
這いあがろうともがき続ける最底辺の者達の一人で、ボサボサの髪に無精髭、浅黒く日焼けした肌がはだけたシャツやタンクトップから垣間見える。
どこか間抜けなのに憎めない。
心の深いところには闇がある、素晴らしい好演だ。
yen town bandというフィクションのバンドをデビューさせるという仕掛けに成功していて、その後、このスキームを様々なフィクションがパクるというかなぞることになる。
岩井俊二のその後を追いかけてみたくなった。