イチロヲ

虹男のイチロヲのレビュー・感想・評価

虹男(1949年製作の映画)
3.0
放火殺人事件の真犯人を追跡する記者が、虹模様が現れる怪異現象に肉薄していく。角田喜久雄の同名小説を映像化している、ミステリー映画。ノンクレジットで円谷英二が参加しているらしいが、真偽は不明。

空想科学系の怪奇ホラーを期待させられるが、蓋を開けてみると至極真っ当な推理劇。物理学者の屋敷に出入りする人々の境遇をパズルピースのように符号させながら、真犯人を導き出していくパターン。

冒頭クレジットの「メスカリン幻覚考証」が存在感満点。主人公も早い段階からソッチに疑いを向けるのだが、幻覚症状をもつ人間をあまりにも長く放置するため、キョーレツなご都合主義に見舞われてしまう。

登場人物が虹模様を幻視するシーンでは、レインボーの視覚効果を部分的にカットインさせる手法を採用。モノクロ時代の映画館で、パートカラー(のようなもの)を実現させていたことを、念頭に置くべし。
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