このレビューはネタバレを含みます
ベトナム戦争の激戦地に送り込まれた兵士達の話。
戦争映画として、美術等のディティールはしっかりしてるし、戦闘シーンも迫力があってリアリティーを感じました。
ゴア描写もあれば、仲間が次々死んでいったりと、戦場の恐ろしさが描かれており、少なくとも「戦争って嫌だな」と思わせる作品にはなっていると思います。
ただ、物語らしい物語がなく、戦場を駆け回る小隊を淡々と追いかける、ドキュメンタリー風の作りになっているので、個人的にはあまり入り込めなかったかな…。
無名の俳優を使ってる事もあり、最後まで誰が誰だか分からなかったし、各キャラクターの背景も軽く語られる程度なので、感情移入も出来ませんでした。
まぁ、それも狙いというか、訳も分からないまま戦場に送り込まれる兵士の心情を追体験させたかったのかもしれませんが、兵士の心情に寄り添うがあまり、全体的に被害者目線で作られているのも引っ掛かる部分。
仲間がベトコンに殺されるのは悲劇だけど、自分達だってベトコンを殺しまくってるわけだし、現地の娼館を肯定的に描いているのも何だかな~と。
ベトナム戦争を題材にした映画で言えば、『プラトーン』や『カジュアリティーズ』など、アメリカ兵の罪や加害を描いた作品もあるわけで。
そうした自省的な視点も含めた作品と比べると、ちょっと落ちるのかな…というのが正直なところです。
余談
Amazon Prime Videoで視聴したのですが、音声が吹替のみで、途中途中で英語音声&AI翻訳の様な字幕が出てきて戸惑いました。
おそらく、TV放送時の吹替音声を使い、放送時にカットした部分はオリジナル音声を使っているのでしょうけど、こんな雑な仕事が許されるとは…。
これなら字幕版の提供のみで良いと思うし、それが出来ないなら無理してカタログに載せる必要もないと思うんですけどね。