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ハンバーガー・ヒルのikoanのレビュー・感想・評価

ハンバーガー・ヒル(1987年製作の映画)
3.6
全編戦闘シーンのベトナム戦争物。ブラトーンの翌年の作品。監督はジョンアービン。実話を基にした作品。
エイショウバレイをめぐるアメリカ兵と北ベトナム正規軍の10日間に及ぶ激戦を迫力ある戦闘シーンの連続で描いています。
主な登場人物は20才そこそこの14人の若者達。その多くは貧困や低学歴で戦争に加わった黒人や、かつてゴロツキだったという白人達。彼らの部隊が頂上を目指し連日丘を上がりますが、その度に強靭な北ベトナム正規軍に押し返されます。
味方による誤射や誤爆。勝算のない苛酷な作戦。次々に倒れていく仲間。本国での反戦ムード。戦う意味を見出せない兵士達。戦闘シーンと戦闘シーンの合間にアメリカ社会の歪みや矛盾が兵士同士のやり取りの中で描かれていきます。
民主国家が戦争を決めた時、例え49%の国民が反対でも、戦争になる訳で、反戦主義者は決して非国民では無く、公然と戦争を否定する訳です。帰還後の扱いも賞賛と非難が半々になるのでしょう。
この映画は87年の映画。その後も、アメリカは何度も戦争を繰り返しています。戦争に加わる兵士達はこの現実を分かった上で志願するのでしょうか。
本人の思想や政治的信念からでは無く、貧困と言う社会状況から戦争に参加せざるを得ない者。戦争に賛成でも戦争には志願しない者。
結局、金持ちが貧乏人を使って戦争をしていると言う構図がどうしても否定できなくなります。
ジョージブッシュはイラク戦争を始めましたが、あの人、確かベトナム戦争は逃れてるんですよね…。
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