ikoan

ディア・エヴァン・ハンセンのikoanのレビュー・感想・評価

3.9
久しぶりに映画館で観ました。ミュージカル映画は映画館の音響でなきゃね。
いゃ〜なかなか良かった!今年の最後に相応しい良作でした。泣けたな!
高校生が主人公の青春ミュージカル!と言っても決して爽やかな溌剌とした感じの話ではありません。
なにしろ主人公は鬱で対人恐怖で孤独な奴なんです。
そんな彼がセラピーのプログラムで書いた自分宛の手紙をきっかけに、自分でも思いもよらない事態に巻き込まれ、自ら入り込み、傷付き、多くを失い、そして何かを得て再生に向かう。そんな救済の話なんです。
それもかなり現代的なんですよね。
群衆の中で孤独を感じるって現代社会の病理ですよね。学校や会社や地域、家族の中ですら居場所を見つけられない、そんな感じって殆どの人が多かれ少なかれ感じていてるし、鬱なんて今や誰でも患うありふれた物なんですよね。 
主人公は自死をした同級生との有りもしない絆を捏造します。
そしてその関係で自分は救われた。自分は1人じゃ無いと叫びます。
これがSNSで拡散し多くの賛同、共感を呼びます。この辺りのくだりがミュージカルらしくいい感じで展開し、泣かせるんですよ。
仲間が増えていく感じはいつも泣けますな。
しかし捏造した事実は周囲を傷つけて、SNSは色んな突っ込みや攻撃も産んでしまいます。
主人公はまた孤独の中に飲み込まれるのか?再生は出来るのか?
後は見てのお楽しみですな。
かなり泣ける映画ですが、かなり考えさせられる映画でもありました。
あっ、これミュージカルです!
曲はどれもいい感じ!
主人公、歌めっちゃ上手いです!
とっても今のミュージカルって感じです!
エンドクレジットにコロナ対策班みたいなのもクレジットされてました。
正に今なんですね。

来年もいい映画をたくさん見れますように。
それでは良いお年を。
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