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アワーミュージックのzhenli13のレビュー・感想・評価

アワーミュージック(2004年製作の映画)
4.0
パレスチナ人男性のインタビューをユダヤ系の女性がとるシーン、この映画が無ければ彼らの邂逅と言葉(たとえそれが役柄で実際の出自は違うとしても)は無かったんだなと、ふと思った。そこにネイティブ・アメリカンの男性たちが介在する。

サラエヴォでの講義でゴダールは「イメージの切り返し」と言う言葉でパレスチナ人とユダヤ人の成し得なかった出来事と成し得た出来事を語る。目の前にある城、ハムレットの城という想像、それらも「イメージの切り返し」という言葉で語られる。

戦争記録映像と映画の戦争シーン(『キッスで殺せ』の核爆発シーンもある)などのコラージュが地獄。フィクションのなかで実在の人物として講義するゴダールと、自殺について語る(その内容はゴダールの意志としか思えない)ユダヤ系フランス人女性オルガによる悲劇的なフィクションは、オルガがデジカムで撮った映像ソフトをゴダールに渡すことで地続きとなる煉獄。ベコニアやサルビアの植栽を横移動するだけのショットが美しいと思うのはなぜか。天国のイメージはアメリカ兵に守られた水辺の森、白人の若者しかいない。
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