映画男

コロッサル・ユースの映画男のレビュー・感想・評価

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)
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日常を切り取るってのは、まさにこーゆうことなんじゃないか。35mmのスタンダードサイズ。固定ショット。画面の上部には余白が多い。なぜか空はいつも曇がかかっている。同じような場所で、同じような会話が繰り返される。登場人物は失った恋人や、貧しい生活を嘆き続ける。映画はひたすら反復を繰り返す。ほとんどのショットに窓、あるいは窓からの日差しが映される。仄かな光は問答無用に、ああおれは今映画を観ているんだなあと思わせる。ゆっくりと回るメリーゴーランドに乗るような夢見心地の映画体験。迫りくる眠気さえ映画体験の一部。途中で画面サイズが16:9になる場面がある。その意図を考えるのはまどろっこしくなるからやめておこう。なんだって良いじゃないか。確信できることは、この映画はデジタルでは成立しなかっただろう。フィルムだからこそ味わえる至高の映画体験だった。
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