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鬼の棲む館のmitakosamaのレビュー・感想・評価

鬼の棲む館(1969年製作の映画)
3.4
スカパーにて。
谷崎潤一郎の小説『無明と愛染』が原作だけに、如何にも肉欲にまみれた愛憎劇よ。

キャストはほぼ4人。
南北朝時代の山寺で過ごす男女。盗賊の無明(勝新)と元白拍子の愛染(新珠)
そこに無明の元妻(高峰)が訪れ夫を取り返そうとせまる。夫は愛人のために町に出ては殺生と略奪。
さらに旅の高僧(佐藤)が訪れる。愛染とも関係が会った過去がある。
僧侶もなかなか格が高く法力で無明を退けるが、愛染の色香で堕とされちゃう。愛染強し。

勝新の凶暴さ溢れる斬撃も凄まじいが、それをも超える新珠三千代演じる悪女の凶悪さが凄い。肉欲で男を食い物にしてダメにする。

道に迷った落ち武者を無明が皆殺しにし、その後の乳繰り合うシーン。
女の裸に顔を寄せ、身体に返り血がベットリ付く官能的かつ退廃的なシークエンスよ。
しかし、新珠三千代の濡れ場は完全にダブルボディだなぁ。顔と身体が完全に別人。

ダークヒーローが真骨頂の勝新が、最終的に悪に撤しきれなかったのも意外で珍しかったね。
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