シミステツ

愛のむきだしのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

愛のむきだし(2008年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

幼い頃に母を亡くし歪んだ性癖を持つユウ。神父の父テツは息子に懺悔を強要。父とのつながりのため、懺悔のために罪を作り出すようになるユウ。そしてチンピラ仲間から喧嘩、万引き、すべてを教わっていく中で、盗撮に関しては父は激しく怒り、ユウは殴られる快感を覚え、没入していくことになる。盗撮の仕方、戦隊モノみたいでダサカッコいい。理想の女性マリア様を求めている中、罰ゲームで女装をしている最中に理想の女性ヨーコに出会う。初めての勃起。

ヨーコの喧嘩のシーンからのタイトルめちゃくちゃカッコいい。イケてるタイトルバックランキング上位すぎる。

Chapter2ではコイケの壮絶な過去が描かれていて、奥行きが出てる。愛、性愛への憎悪、父の陰茎をへし折って鋏で切り落とすとかいう狂気。そしてユウとヨーコを脅かす存在として光る重要な役回り。

満島ひかりの飄々として奥に強い意思があって何を考えているか掴めない不気味さを孕んだ表情がすごい。カート・コバーン以外の男は敵。そんな中でカオリの影響からキリストにのめり込む。恋してる時の表情との振れ幅がすごい。

テツとカオリの結婚からヨーコと暮らすことになったユウ。そしてコイケの策略、すべての関係を壊しにかかり、家族が全員消える。AVメーカーに誘われるユウ。0教会による洗脳、救済。

「コリント書のの第十三章を知ってるか?」

「愛がなれけば私は何者でもない。愛がなければ私には何の益にもならない」

「引き続き残るのは、信仰、希望、愛、この3つ。このうち最も優れているのは、愛」

海辺でコリント書を叫ぶ場面は名シーンすぎる。満島ひかりの名演が光る。

「外に出て海が見たい。絶対逃げないから。約束する」

「ねえ、切っちゃいな」

「ヨーコ、どうしても勃っちまうんだ。ごめんな、お前のこと見るとどうしても勃っちまうんだ。ごめんな」

「変態!」

「愛してんだよ!」

「愛を恥じるな」

「あなたは男の中の男よ。私よ顔を見て」

それぞれの登場人物から描かれるChapter。それぞれに持つ壮絶な過去。家庭環境、受難、異性という敵。生まれ落ちた運命からの解放、むきだしの憎悪、むきだしの原罪、ベールを脱いだ告白、愛による救済。キリストの受難、死、復活、昇天にそってストーリーが進み、ラストのカタルシスへと向かう。愛を恥じることはない。むきだしていい。

4時間に及ぶ壮大な物語だったけど、ドラマをぶっ通しで観てる感じというか、時間を感じさせないのめり込める魅力があった。満島ひかりをはじめ、安藤サクラの演技が光っていたし、西島隆弘も役にしっかりハマっていて配役は完璧に思えた。