このレビューはネタバレを含みます
世界一でくのぼうだけれど
誰からも忘れられた男だけど
家族からも忘れられた男だけれど
不器用にもほどがある
大事に抱えた娘への贈り物の箱
これを持って家に帰ろう
ただ少しづつ白い箱が汚れていく
形が崩れていく
相棒の為におどけ
人の傷をしょいこむ
へらへら笑いながら傷を負う
少しづつ確実に
電話ボックスで
噴水で
彼は崩壊する。
がさつな彼の相棒の心の鎧が解けていく
厚着だった男が薄着になる
傷ついたでくのぼうを守っていこうと決める
ありったけの小銭を集めて。
奴は潜水服を着ておどけていた
がさつな相棒の為だけに
場末の酒場で
傷だらけの思いを隠して
世界一でくのぼうのだけれど。