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おかしな二人のzhenli13のレビュー・感想・評価

おかしな二人(1968年製作の映画)
3.4
ニール・サイモンによる戯曲が先らしく、脚本と役者で保っている感じ。男二人に擬似夫婦のような言動をさせ、裏腹な言葉のやりとりでブロマンス展開を見せているところに面白さがある。
ウォルター・マッソーとジャック・レモンがお互いをわざと相手の妻の名前で呼び合うところがあるんだけど、所有物としての妻を指してるのでも擬似妻として相手を指しているのでもなく、対になる片方としての妻が欠けているということ、対になってこそ完全形であることを強調しているよう。だからこそ"Odd Couple“というタイトルなのか。

日本のストレートプレイでこの『おかしな二人』の女性版をやっているそうだが、女同士でその面白さが出せるのか疑問。薹のたったむさくるしい男ばかり、ウォルター・マッソーとジャック・レモン以外は家庭があり、彼らが妻から解放されて汗だらだらで煙草の煙も吸いがらも気にせず散らかった部屋やジャンクなものを求めるというのも、女たちが夫から解放されたからといって同じことをするかというとちょっと違う気もする。まぁ元々片付けが苦手な人間は性別関係ないけど。

ウォルター・マッソーの居間とキッチン、ジャック・レモンが間借りする二段ベッドのある部屋がメインの舞台となり、居間へ通じる廊下を移動するショットが多用されるが、空間の面白さはいまいち。
喜劇役者としての面目躍如という感じのウォルター・マッソーとジャック・レモンの台詞の掛け合いはさすがだしメッツの帽子はやはり好い。それだけにもったいなくて、テンポが悪く尺が長く感じる。ここはハワード・ホークスくらいのスピード感とエネルギーがあってほしい。

ジャック・レモンが「泣く」ことでイギリスから来た女性二人が心をひらくシーンはもちろん喜劇展開なのだけど、人が自己開示し融和できる方法は笑いよりも涙なのではというのがよくわかる。
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