ハレルヤ

少年と自転車のハレルヤのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
3.8
父親に捨てられたのと同然で施設で過ごす主人公の少年シリル。偶然出会った女性サマンサが週末だけの里親を引き受けてくれたことで、心を開いて成長していく物語。

監督のダルデンヌ兄弟が日本で開催されていた少年犯罪のシンポジウムで聞いた育児放棄の事件から発想を得た作品。なので日本も当然そうですが、どこの国でも共通する問題を真正面から取り上げています。

そして監督の過去作にも通じる手持ちカメラだけで描くドキュメンタリーに近い作風。それは本作でもしっかりと踏襲されていて、観客がずっとシリルのそばにいるような雰囲気が感じられます。

父親に捨てられたかもしれない。でもそれを信じたくないシリルの切ない思いが伝わってきて本当に辛い。シリル役のトマ・ドレの演技とは思えない表情は必見。

その彼に突然の出会いにも関わらず優しく接して、里親を引き受けるサマンサ。こんな人なかなかいないよなぁと思いますが、こういった人が辛い境遇にある人にとって救いになるというのを表していると思います。

唐突に終わるラストもダルデンヌ兄弟監督作品のお決まり。あの後はどうなるのかを敢えて示さないのも観客の想像力をかき立てます。
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