Ryoma

その男、凶暴につきのRyomaのレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.5
開始5秒で“これは傑作だ”と悟ったが、たしかに問答無用の傑作だった。これが処女作なんてヤバすぎだろ。ある種の宿命というか…そういうモンを感じざるを得ない。ほんでラストシーン。集中豪雨レベルの銃弾の雨を浴びるタケシ。普通は死んでます。でもスクリーンには、全然歩く足を止めない、まるで人間じゃないみたいな表情を浮かべたタケシが映ってる。この、いわゆる“映画の嘘”は、ゴダール『はなればなれに』のラストで描かれる、“全然死なない銃撃戦(まるでダンスみたい…)”と同様のメタ的視座を共有してると俺は思った。…というかこの映画、めちゃくちゃ非ハリウッド的演出で、つまりはガチガチの作家映画で、だけどもビビるほどの独自性を既に確立、もう全然迷ってねえなと思う。…でもこれ処女作でしょ…タケシはなんに影響を受けて、ここまでの境地に、“いきなり居てしまった”のだろう、と思って。そりゃあ驚愕。もう天才としかいいようがない。大好き。かっこいい。完全に惚れた。
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